ピュア *first love*



頭痛なんてぶっ飛んだ。


階段をかけあがって、彼女の手から、ノートを数冊残して、取り上げる。


びっくりして顔をあげる彼女は目を見開いて、口をポカンと開けている。


緊張させないように、できるだけ優しい口調で声をかけた。


「半分持つよ。どこに持っていけばいいの?」

「あ……化学室」


よし! 化学室までは二人きり。数冊、ノートを手に持っている彼女はまさに、逃げられない状況。


全部持ってあげてもよかったけど、それじゃ彼女は教室に帰るかもしれないし、二人きりの空間はつくれないから。


ここからが肝心だ。


彼女の心を開かせるような会話を……。



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