ピュア *first love*



彼女の温もりが残る右手を握り締めて、思わず心の中で思っていることを口に出してしまった。


「……田宮さんって、かわいいよね」


自分でもビックリするくらい、自然に言っていた。


“かわいい”


この単語を言われて、嫌な気持ちになる女の子なんていないと思っていた。


でも彼女は違ったんだ。唇を噛み締めて、俯いたまま声をあらげた。


「かっ、かわいくないよ!」



< 37 / 340 >

この作品をシェア

pagetop