*。恋するブス。*






平安名は油性ペンを受け取ると

みんなの卒業文集にスラスラって言葉を書き込んだ。


書いてる時の顔が少しいつもよりも真剣で

なんかグッときた。

でも少し笑えた。




今日で平安名ともお別れなんだ。

なんだか寂しいな。




「はいっ」



「ありがと」


「先生イケメンやな」


『ちゃんと読んどいたるわ』




「佐藤、卒業式やねんから

 最後くらい素直になれよ」





平安名は少し眉を下げて寂しそうに笑った。

『最後くらい』なんて言わないでよ。




寂しくなるじゃん。



そんな顔しないでよ。

教師なら教師らしく笑顔で送り出してよ。



卒業式まだ始まってないのに泣きそうになるじゃん。




平安名。私まだ卒業したくない。

もう少しみんなといたい。


もう少し平安名といたい。





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