姓は寿限、名は無一郎
確かに、あれは叔父に間違いない。顔も、声も、覚えているのは少し若いが、それでも間違えようが無い。大楠殿に至っては竹馬の友ではないか。それなのに、いつも笑みを浮かべ、剣や、柔術、水法など、いろんな武術に秀で、四書五経から、蘭学など、あらゆる面で人々に尊敬されていた…自慢の叔父だったのだ…だから、子が娘ばかり三人という旗本から婿養子に来ないかと縁談が進められていたと彼は聞いていた。
それが、
それが、