また恋をした、その時に。



───駅までは短い道のりだけど

ヒカリにまだ心を開けていない私にとっては、気が重くて。





「心美さあ、何でも心の中に隠しちゃって。」

正門を通り過ぎ、
大きな道路沿いに出た瞬間、
ヒカリは小さなため息をついて
呟くように言う。



「そ、そんな事ないよ?」

ドキッと心拍数が上がり、
目線を上にする。


花をつけていない桜の木と

薄い雲が広がっている空が目に映り。

もうすぐ入学して1ヶ月たつんだなぁ…なんて思う。


「せっかく仲良くなれたんだからさ、何でも話してほしいよ。

陸君の事で……今悩んでいるんでしょ?」


「んー…」


「まだ話してくれない…か。
じゃあ、私の話聞いてもらおうかな?」

ヒカリはキリッとした眉を下げた。


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