また恋をした、その時に。



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「ただいまー」


ガチャ…………

リビングのドアを開けると、お母さんがキッチンで夕食の準備をしていた。

野菜を切る音が響いている。


「あら、おかえりなさい。」


「ねぇ、お母さん…。
今日ね学校で悪い事もあったけど良い事もあった。」

私が満面の笑みでそう言うと、

「良かったわ、学校うまくいってるみたいね…
心美は何も話してくれないから」


短いため息をついた後、優しい微笑みを浮かべるお母さん。





なんか、照れくさくて
視線を反らした私はリビングのドアへ。

ドアのハンドルを持ちながら振り返り、言う。

「そんなことないよ?
さーってと…塾の宿題やんないと

ねぇ、宿題終わったら友達とメールしててい?」




「勉強は大丈夫なの?」



「大丈夫だよ。毎日勉強してますから。」


「そうね、メールしてもかまわないけど、しすぎないでね。」



「はーい。」


返事をしてリビングを出る私。

…久しぶりにこんなに会話したかも。

そんな事を思いながら、
階段を軽やかに上ったんだ…

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