また恋をした、その時に。
タン、タン、と
渡り廊下のスノコの上を
歩いた時の音が響き
思わず振り返る。
「小日向……………」
さっきとは違う緊張で体が強ばり
胸がぎゅっとなる。
「どうした?
…もしかして…寝てんの?」
と、小日向は
私からリクに視線を移しながら
聞いてきて。
私は小さく頷いた。
「…ったく、しょーがねーな。
保健室に連れていくっか…………
コイツ、乗せてもらえる?」
小さなため息をついてから
しゃがむ彼。
「………うん。」
私は小日向の大きな背中に
リクをそっと乗せた。
優しくて、カッコよくて
小日向は素敵な人だ。
「遠藤さんは体育館に戻りなよ
もうすぐ決勝が始まるし。」
「わ、私も行く…」
だけど、
リクの側にいたいんだ。
一緒に成長していきたい。
例えば、どんな辛い事があっても
彼となら乗り越えられる。
2人の背中を見ながら
“リク、頑張ったもんね。
もちろん小日向も。”
そんな事を思いながら
3歩後ろをゆっくり歩く…