また恋をした、その時に。
「何なの?この結果は。
これじゃあ、何の為に高いお金出して塾に行かせてるのか分からないわ。
…家で…ちゃんと勉強してるの?
それとも。勉強の仕方が悪いとか?」
「勝手に勉強してないって決めつけないでよ。
これは塾でのテストなの。
初めて勉強した範囲なんだから
分からない所があって当然じゃない!
何でも…100点…100点って
…バカじゃないの?
顔も見たくないから出てって。」
────2人の大きな声が
僕の耳を痛く貫く。
両手で耳を塞ぎ、目もぎゅっと
瞑った。
こんな言い争いなんて
聞きたくないよ。
───心美ちゃんは、毎日…こんな想いをしているの・・・
「何なの?
親に向かってその口の聞き方は!
いい加減にしなさい!!!
だいたいあなたはねぇ…」
「煩い!煩い!
あんたなんか、親じゃない!
出てって!」
バンッ……………!
勢いよく閉まったドアの音。
ドンッ…………!
何かを叩いたような低い物音。
────心美ちゃんの泣き声。
僕はこの時、
苦しいほどに胸が締め付けられたんだ。
ガラガラ……………
ガラス戸を開ける。