また恋をした、その時に。
「………何よ。そんな目で見て」
彼女の突き刺さるような、鋭い視線。
「………心美ちゃん………」
────流れる沈黙。
4月の中旬の、強い風が
カーテンを揺らし
部屋の中に入り込む。
部屋の中に入り
心美ちゃんの細い手首を
強く掴む僕。
「ちょ…何すんのよ………
離してっ…………!」
「君にどうしても見てほしいものがあるんだ────」
「………………え?」
そのまま彼女を引っ張り、
バタン……………
部屋を出る。
そのまま階段を駆け降り、
「お、お母さん!こ…コンビニ行ってくる!」
僕たちは家を出た。