また恋をした、その時に。
4、【心美】 月のような人
『言ったでしょ?
君に見せたいモノがあるんだ。
…少しだけ時間いい?
自転車…乗ろ?』
─────トク……
───────トクン…
顔、近いって。
心臓の鼓動が僅かに早くなる。
……この人、やっぱり変わってる
何だろう。空気が違うというか…
…上手く表現出来ないけど……
───綺麗すぎるんだって。
心も体も。全て。
汚れなんて、一切ない。
───そう感じた。
「わ…分かったから…離して…」
ゆっくり、彼の手を振りほどき…
私はすぐ横にある
駐輪場に向かって歩き出す。
「………いいの?」
「見せたいんでしょ?
どこ行く気なの?」
「秘密っ………!早く行こっ…」
リクは嬉しそうに声を弾ませ、
自転車のスタンドを外した。