また恋をした、その時に。
急いで体育館に戻る。
半開きの扉から顔を覗かせて名前を呼ぶ。
「リク?」
中に入って
右から左へと見渡しても
中には誰もいない。
聞こえるのは耳に響く蝉の声だけで。
閑散とした風景。
彼が此処を立ち去った後…
不安になった。
───もう会えなくなったらどうしようって。
「遅かったか…学校を出よう」
小日向の言葉に小さく頷き
体育館を後にする。
私達は小走りで正門に向かった。