また恋をした、その時に。



咄嗟に
宙に浮いている彼女の足を
右手で抑え、

左手を腰に回し体を起こさせた。


そして、
勢いよく引き寄せ…

ドサッ…………

ベランダの床に突き落とす。


「ハァ…ハァ…君は、何がしたいの…」


突然の出来事に、
僕の心臓は激しく動いていて
息が上がる。



「ウッ………ウッ………」

彼女は崩れた体勢のまま泣いていた。



何か溢れるモノを吐き出すように、

僕の問いかけに答えるかのように

ただ、俯いて泣いているだけ。



───どうしたの?

────何があったの?

─────何で泣いているの?



僕には分からない事だらけ。



夜のベランダには

彼女の携帯電話が
外に投げ出されていて

背面ディスプレイのライトが
その場所をを少し明るくする。


小さなプランターには
パンジーが瑞々しく咲いていた。


分かった事が1つだけある。

この子はきっと優しい子なんだろうな。

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