また恋をした、その時に。
彼女の顔を見ると、眉をひそめ
さっきより潤んだ瞳。
何処か寂しげな瞳で
外の景色を見据えていた───
もしかしたら。
景色なんて…見えてないのかも
しれない。
だって人間の心美ちゃんにとって
ここから見える景色は
住宅街を映し出した
どこにでもあるような、
ありふれた景色。
こんな寂しげな表情になるはずがないよ。
きっと
何かこの表情には理由がある。
僕は彼女に訊ねた。
「帰らないの?」