また恋をした、その時に。
「帰りたくないんでしょ?」
僕の言葉に心美ちゃんは、ビクッと肩を震わせ
視線を景色から僕に移す。
そして彼女は
すぐに視線を外し、俯いた。
「寂しい顔していたから………」
僕はそっと彼女の頭に手を載せ、撫でる。
心美ちゃんの柔らかい髪が
指に絡んで。
もう、そんな顔しないで?
僕がいるから。
「帰りたくない、あんな家は。
窮屈で…あんな寂しい家になんて
帰りたくないから。」
そう言った
彼女の固い表情が
僕の目に焼きついた。
ううん。表情なんてなくて。
「寂しい家?」
心美ちゃんは小さく頷く。
───それから、
彼女は色々話してくれたんだ