また恋をした、その時に。



「話聞いてもらえただけで
楽になったから。ありがとう。

もう、帰らないとね。
ごめんね…引き止めて。」

彼女はそう言って
立ち上がり、歩き出した。


「待って、心美ちゃん………」

僕は彼女の背中を追いかける。

廊下にはオレンジ色の
夕日が射し込んでいて。

  眩しかった。



「私…職員室に寄って行くから。」


心美ちゃんは、振り返る。


  『また明日ね。』

と、言い終えると彼女は小走りで
廊下の突き当たりまで行き、
左に曲がって、階段を降りて行った。


 心美ちゃん、僕がいるから。

心の中で何度も呟いた。

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