また恋をした、その時に。



ゆっくりと目を開き、
自分の体を見てみると…


月の細かい粒子の砂で、
自分のくすんだ毛色は
更に汚く見えた。

砂まみれ…………………

ヨウが僕に向かって
砂を吹き付けたらしい。







「ヨウ………、ごめん。」

気づいたら、
こんな言葉を漏らしていた。

文句なんて…言えない。
弱い自分。


悔しさを心の奥にグッとしまいこむ。




「お前見てると腹立たしいわ。」

呆れたようなため息をついてから
ヨウはこの場を去っていった。


巻き上がる、砂埃と彼の後ろ姿を
見つめながら思った。


  僕は、孤独な兎。

  それで、いい。


みんな、僕がいるだけで…

嫌な想いをしているに違いない

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