また恋をした、その時に。
廊下を突当たりまで進み、
階段を上る。
何段も、何段も息を切らしながら
階段も上り、着いた先は
5階と屋上の間にある踊り場で。
誰もいない
静まり返ったこの場所。
「遠藤………」
小日向君の声を聞き、
階段の途中で
瞬間的にピタリと止まる。
「小日向…どうして………」
心美ちゃんの声だ。
僕は2人に見つからないように
息を潜めた。
「リク、
悪い奴じゃなさそうだから、さ。
何かあるんだきっと。だから…」
「どうしたの?小日向…
私…………」
1トーン上がった
心美ちゃんの声は
僅かに声が震えている気がしたんだ。
ねぇ、心美ちゃん
どんな表情をしているの?
どんな思いでいるの?
階段の壁にピタリと張り付きながら、
そんな事を思った。
「私…………リクの事なんて
何とも思ってないから
全然傷ついてないし……」