また恋をした、その時に。
「心美ちゃん、傷つけてごめん…
だから嫌いにならないで……?」
気づいたときには、もう遅くて。
無意識のうちにそう呟いていたんだ。
僕はハッとして目を見開く。
握りしめていた手には汗が滲んでいて。
「リク…………」
心美ちゃんと小日向君に
見つかってしまった。
彼女の表情は一気に険しくなっていく。
「こ…こみちゃ………」
「……………っ」
そのまま心美ちゃんは、
階段を勢いよく降りて…
僕の顔を見ることもなく
この場を立ち去った。