僕の大好きなお姉ちゃん
フェンスに手をかけて、小さな段差を上ろうとした。
すると、ザッと滑ってしまった。
「ふわっ!?!?!?」
どかっと尻もちをついて、手にコンクリートのザラザラな感触が伝わる。
「いったあ~…」
顔をしかめてそう言うと、利翔は、「大丈夫か?」と心配しながら笑っていた。
「ほんとどんくさいな~。奈々は」
「ひっど~い!
笑ってないで助けてよ~」
「ごめんごめん」
そういうと、利翔は手を差し伸べた。
恋人っぽいな…なんて思いながら、私は利翔の手を掴んだ。