僕の大好きなお姉ちゃん
「奥のいつもの部屋にいるよ。
俺、いまからちょっと出かけてくっから…じゃあ、またな」
そう言うと、奏は早々と行ってしまった。
取り残された私は、ひとつ深呼吸をしてから、おばあちゃんのいる部屋に向かった。
「………おばあちゃん………」
開いたふすまをコンコンと叩くと、おばあちゃんがこっちを向いた。
ひさしぶりでドキンと胸が高鳴る。
あたしを見たおばあちゃんは、一瞬目を見開いて、すぐにいつもの優しい表情《カオ》をした。
その表情に、思わず顔がゆがんで、いまにも泣きだしそうになる。
「奈々ちゃん……。
ひさしぶりねえ。
まあた綺麗になってえ…」
おばあちゃんが手を伸ばし、私を引き寄せた。
優しく抱きしめ、ポンポンと頭を撫でてくれる。
小さいころも、
わたしが泣きそうな時や、つらい時。
いつもこうやって抱きしめてくれた。
「おばあちゃん……っ……~~っ」