僕の大好きなお姉ちゃん
「もちろん、奈々ちゃんにもある。
あたしにだってあるんだからねっ!
そのひとの良さ」
「…………うん」
「”良さ”っつっても、
可愛いとか、面白いとか、そういうのだけじゃない。
簡単に言うなら、”個性”かな」
「うん」
美空の先の読めない言葉を、それでも一つずつ丁寧に飲み込んでいく。
「自分にないものを持っている人を、人は好きになる。
まあ例外もあるけど、
そこは美空論だから、気にしないでっ。
うまく言葉で表せないことも多いけど、利翔は奈々ちゃんの”何か”に惚れたんでしょう?
奈々ちゃんしか、持ってないもの。
奈々ちゃんにしか、ないもの。
それが、奈々ちゃんの”個性”だよ」