僕の大好きなお姉ちゃん





自然と、涙がこぼれた。






だって、悔しかった――。
彼方にあって、俺にはない。
俺がどんなに頑張っても手に入らないものを、奈々は好きになった。


そんなの、どうしようもないじゃんか……。




奈々くらい…もしかして、奈々以上に好きになる人が表れるかもしれない。
俺にしかないものを、好きになってくれる人があらわれるかもしれない。

だから、俺にしかない”個性”を大切にしろ、って、美空は言う。





わかる。
わかるよ。



でもさ、俺はさ、
いま、どうしようもなく奈々が好きなんだ。




でも、奈々は彼方のことが好きなんだよ。
だから―――――
彼方になりたいと、願わずにいられないんだ……。





< 293 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop