僕の大好きなお姉ちゃん
ピッと音をたてて、電話にでる。
「彼方ぁーー!!
先生が来いって言ってたよ!」
”先生が来い”
何先生なのかもどこへ行くのかもわからない、あやふやな呼び出し。
これは、まだ水崎と一緒にいると思ってる奈々が、逃げ出す言い訳を作ってくれたんだろう。
声も、まわりに響くほどやけに大きいし。
「…今、もうあいつらはいないぞ」
「…えっ!?そうなの!?
じゃあ、今の呼び出し、なし!」
…やっぱり。
「だろうと思った。
さきに逃げやがって」
「ごっめーん!怖くって☆
で、今、どこ??
もう、HR始まるよ?」
「んー…まあ、すぐ行くから」
「りょーかーい☆
じゃあねッ!」
ツーツーツー…と、通話の切れた音が耳に響く。