切なさの距離~友達以上、恋人未満~
で、結局あたしは1人になった。
人混みの中で知らない間に2人とはぐれてしまい、
探すのも面倒でそのまま帰ってきたんだ。
それが、去年の納涼祭りの出来事。
だからもうこの2人とは行きたくないんだ。
「俺、パス」
湯川が言う。
「なんでだよ~?貴斗も一緒に行こうぜ?」
「ヤだ。」
即答の湯川。
「俺、人混みキライだし」
「ダメだって!
2人とも来てよ!
貴斗はさ、初めてでしょ?納涼祭り!」
アキはそう言って湯川の肩をつかんだ。
そうか。
湯川は前隣の市に住んでたから納涼に行ったことないのか。
「は?あるんだけど、それくらい。」
湯川はアキの手から逃れる。
「だとしても納涼、行こっ?」