切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「湯川」
「……あ?」
やっぱり来なければよかった。
何?この人の量。
イモ洗い状態とはまさにこういう状況のことを指すんだろうな。
「あの…彼女、なんて言ったっけ?」
「裕実」
湯川は相変わらずの態度。
いつもより機嫌が悪いのはあたしのせいなのか、この人混みのせいなのかは謎。
「そうそう。
その裕実ちゃんはよかったの?」
「何が?」
湯川はこっちを向こうとしない。
ってか人、邪魔。
もうちょっと背が高ければ良かった。
なんて思ったりして。
当然今、アキと夢大はいない。
2人とも知らないうちにはぐれちゃった。
去年と同じ。
でも今年は湯川がいるから仕方なく帰らずにいる。
「…………あれ?」
今さっきまで隣にいたはずの湯川がいなくなってる。
ヤバ…湯川ともはぐれた?