切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「あ!湯川!」
次の日。
部活に行く気分じゃなかったが最後の大会前で休むワケにはいかず仕方なく学校へ行った。
そうすると日向が駆け寄ってくる。
「昨日…どうだった?」
「うん、大丈夫だった」
何が大丈夫なのか分からない。
でも気づいたらそう答えていた。
「ウソだ」
日向が下から俺を睨む。
「その顔、大丈夫じゃなかったでしょ?」
日向に言われ、すぐ横にあった窓を見る。
うわ…ひでぇ顔してる。
「結局、裕実に会えなかったんだ」
そう言うと日向は俯いてしまう。
「お前のせいではないから。
全部、俺のせいだし」
「湯川のせいでもないって」
日向はフォローしてくれるが、あれは俺のせいだ。
俺が裕実の着信に気づいていれば、
去年裕実と花火を見た場所に日向といなければ、
裕実が走って行ったときすぐに追いかけていれば、
こんなことにはならなかった。
全部、全部、俺のせい…なんだ。