切なさの距離~友達以上、恋人未満~
立ち止まって振り向いた湯川は少し痩せたように見えた。
そして何も言わず、また歩き始める。
え?!無視!?
戸惑いながら湯川のあとを追った。
「ちょっと、なんでなんも言わないワケ?」
湯川に追いついたあたしは腕を掴み、無理矢理振り返らせる。
「……………………」
何も答えず、俯いている湯川。
「部活、ちゃんと来てよ。
最後の大会になるかもしれないんだよ?」
1週間後の大会で1位または2位にならなければ引退だ。
「………知ってる」
ボソッと呟く湯川。
「じゃあなんで…「黙れ」
じゃあなんで来ないのよ!と言おうと思ったのに湯川は冷たく言い放った。
「お前に…関係ないだろ。
俺に干渉すんな」
俺に、干渉すんな。
はいはいはい。
そういう態度でくるわけね。
あたしの中の何かが爆発した。
「何よ、それ。
人が心配してるのに干渉すんな、って。
裕実ちゃんと何があったか知らないけど、部活にくらい顔出してよ!」
興奮していて気づかなかった。
湯川の肩が震えていたことに。