切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「県大も勝って2人で全国に殴りこみ行こうぜ」
どうしてだろう。
なぜか日向といると自分が自分らしくいられる。
気を張ることも、見栄を張ることもなく、落ち着くんだ。
できることなら一緒に頑張ってきた日向と全国までいきたい。
いけるとこまでいって負けたら悔いなく終われると思うんだ。
「日向は高校でも続けるのか?」
「どうだろ。分かんないけどあたし、長距離好きだしできたら続けたいかな。
湯川はどうするの??」
「俺は……」
言葉に詰まった。
「俺も好きだから続けたい。
けどまだ…続けられるか分かんないんだ」
高校生になればバイトを始められる。
もうあれ以上オカンに負担はかけられない。
だから高校生になったら部活じゃなく、バイトをすることになるかもしれない。
「そっか。
なるべくならあたしは続けてほしいな。
湯川、絶対将来大物になると思うもん」
「大物って…」
俺は吹き出した。
「とりあえず今は目の前の大会のことだけ考えよう。
よし、ペースあげるか」
日向が頷いたのを確認して俺はペースをあげる。
ホント、日向ってすごい。
男の俺のスピードにちゃんとついてこられるんだ。
もしかしたら男子の部で出ても入賞できるかもしれない。