切なさの距離~友達以上、恋人未満~
大会当日
「日向、頑張れよ」
長距離は女子の部から行われる。
「あたし、1位獲ってくるからちゃんと見といてよ」
ニヤッと笑った日向は俺に背を向け、スタートラインへ向かった。
「あのさ、貴斗」
座り込む俺のところにアキと増川がやってきた。
なぜかニヤニヤしてるコイツら。
「なんだよ?」
「貴斗さ、日向のこと…好きでしょ?」
「はっ?!」
何言い出してんだよ、アキ。
俺、失恋したばっかりだし。
「ヘンなこと言うなよ」
そう言うと今度は増川が出てくる。
「でも俺らからはイイ感じに見えたぜ?
な、アキ?」
アキは普通に頷いている。
「んなワケないって。
ほら、バカなこと言ってないで日向見ろよ。
もうすぐスタートだぞ」
わざと話を逸らした。
じゃないと何を言い出すか分からないからな、コイツらは。