切なさの距離~友達以上、恋人未満~
大丈夫【Hinata】
【パンッ】
男子の部が始まった。
あたしはピストルの音と同時に立ちあがった。
さっきからずっと、気になってる人がいるんだ。
「もしかして…裕実ちゃん?」
深く帽子を被っている彼女。
顔が見えたわけじゃない。
でも、裕実ちゃんな気がしたんだ。
「あ…あなたはもしかして日向ちゃん?」
どうしてあたしの名前、知ってるんだろう。
「別れる前に貴斗が言ってたんだ。
花火で一緒にいたのは日向ってヤツなんだ、って。
だから、そうなのかな、って。」
裕実ちゃんはそう言ってフッと笑った。
間近で見れば見るほど、
あたしなんか足元にも及ばないくらい可愛い子だと思った。