切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「お疲れ様」
あたしの隣に座った湯川。
気づくと裕実ちゃんはいなくなっていた。
裕実ちゃんのことを言おうか迷ったが、言うのをやめた。
きっと裕実ちゃんは望んでないと思うから。
「これで県大出られるな」
湯川は笑っている。
「県大もまた、1位だよ」
当たり前だろ、と湯川は余裕そうに笑った。
裕実ちゃん…ホントに湯川に会わなくてよかったのかな。
ホントはあのとき…すれ違ったとき、湯川に気づいてほしかったんじゃないのかな。
チラッと湯川の横顔を見る。
でも、いつもと変わらない表情で。
すれ違ったのに、何も気づいていないのだろうか。