切なさの距離~友達以上、恋人未満~





「お疲れ様」

あたしの隣に座った湯川。

気づくと裕実ちゃんはいなくなっていた。


裕実ちゃんのことを言おうか迷ったが、言うのをやめた。

きっと裕実ちゃんは望んでないと思うから。



「これで県大出られるな」


湯川は笑っている。



「県大もまた、1位だよ」


当たり前だろ、と湯川は余裕そうに笑った。


裕実ちゃん…ホントに湯川に会わなくてよかったのかな。

ホントはあのとき…すれ違ったとき、湯川に気づいてほしかったんじゃないのかな。


チラッと湯川の横顔を見る。

でも、いつもと変わらない表情で。


すれ違ったのに、何も気づいていないのだろうか。





< 142 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop