切なさの距離~友達以上、恋人未満~




目の前にドアップで湯川の顔。


何…この距離は。


あたしの左側に湯川がいた。

で、あたしは転びそうになった。


今の状況は…湯川の右手が背中側からあたしの右肩を掴み、

左手は左肩を掴んでいる。


周りから見れば…肩を抱かれてる…的、な?




「ああああありがとう!」


どもりながらお礼を言い、慌てて離れた。



「クッ なんだよ、それ」

湯川は肩を震わせ笑っている。


今の距離は…ヤバかった。

近すぎて心臓壊れちゃいそうだったし。



でも湯川はまったくそんなことを気にしていないようでまだ笑っている。


それもそうか。

まったく意識してないあたしに対してあたしと同じようにドキドキするわけないもんね。


それに裕実ちゃんと付き合ってたんだもん。

あんな距離で相手の顔があっても、全然動じないよね。



ふと、気になったことを口にする。



「そう言えば、湯川ファーストキス、いつ?」







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