切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「じゃ、やろうか、練習」
午後1時
日向はそう言って立ち上がった。
そして家のドアを開ける。
【ミーンミンミンミン】
というセミの大合唱とともに、むわっとした熱気が部屋に流れ込んでくる。
「「あっつ…」」
見事2人の声がハモる。
1時間でこんなにも暑さが増すなんて。
いや、今まで涼しいところにいすぎたのか?
「こりゃ…3時間が限界かもね」
日向が眩しそうに目を細めながら言う。
「………だな」
3時間持つかも分からない。
立っているだけなのに、これでもか、ってくらいに汗が出る。