切なさの距離~友達以上、恋人未満~
県大会【Hinata】
日は経ち、夏休みも残り半分。
課題はまだ3分の1も終わっていない今日この頃。
今日は…運命の県大会。
昨日の夜。
あたしにしては珍しく緊張してあまり眠れなかった。
もし…もし負けたら、受験勉強で机に向かう日々になってしまう。
それだけは絶対に避けたい。
大会の会場はいつもより少し広めのところ。
「なーに固くなってんだよ」
後ろから声がして振り向くとエナメルの鞄を提げた湯川がいた。
「別に固くなってないし!」
と、言うが固くなってたのは事実。
「ウソつけ。
日向って見栄っ張りなところ、あるよな」
クククッと笑っている湯川。
湯川、なんかすごく余裕そうだな。
緊張とか…しないのかな?
「うるさい!
中でアキと夢大が待ってるから行くよ!!」
あたしは一瞬湯川は睨む。
でも相変わらず笑ってて。
知らない間にいつも通りのあたしに戻っていることに気づいた。