切なさの距離~友達以上、恋人未満~





【パーン】


スタートの合図と同時に一斉に走り出す。

その中にいる湯川は群を抜いて、目立っていた。


周りからときたま聞こえてくる湯川の名前。


2年前、アキレス腱を切ってでもゴールした湯川を覚えてくれている人がいるんだ。



「もう真っ二つに分かれたね」


アキが呟く。


ちなみに湯川は先頭集団を引っ張っているカタチになっている。



このまま行けば絶対1位だ。

そして湯川は全国へ行く。


その名を全国に轟かす、大物選手になるんだ、アイツは。

あたしの中でそう決まっていた。


それが…現実になる、かもしれない。

今の段階ではまだ「かもしれない」だけど、きっと湯川はやってくれる。



クールな顔して



「次はお前の番だぞ」


って言ってくるに決まってる。







< 175 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop