切なさの距離~友達以上、恋人未満~
【パーン】
スタートの合図と同時に一斉に走り出す。
その中にいる湯川は群を抜いて、目立っていた。
周りからときたま聞こえてくる湯川の名前。
2年前、アキレス腱を切ってでもゴールした湯川を覚えてくれている人がいるんだ。
「もう真っ二つに分かれたね」
アキが呟く。
ちなみに湯川は先頭集団を引っ張っているカタチになっている。
このまま行けば絶対1位だ。
そして湯川は全国へ行く。
その名を全国に轟かす、大物選手になるんだ、アイツは。
あたしの中でそう決まっていた。
それが…現実になる、かもしれない。
今の段階ではまだ「かもしれない」だけど、きっと湯川はやってくれる。
クールな顔して
「次はお前の番だぞ」
って言ってくるに決まってる。