切なさの距離~友達以上、恋人未満~
あと…1周
ここからどれだけペースを上げられるかが勝負の分かれ目だ。
湯川は今、1位だが2位の人にピッタリマークされている。
「逃げ切れるかな…貴斗」
アキは心配そうに湯川を見つめている。
「アイツなら大丈夫だよ」
と、夢大は言っているが内心ドキドキしているに違いない。
あと…500メートル…400メートル…300メートル…
ふと、思い出す。
200メートル地点まであと少し。
あそこは湯川にとってもっともイヤな思い出がある場所。
「ゆかわぁー!!
駆け抜けろー!!」
気づくとあたしは大声で叫んでいた。
もしかしたら、周りの歓声であたしの声はかき消されてしまったかもしれない。
けどきっとアイツに届いた。
だって一瞬こっちを向いたんだもん。
それからあっという間にゴールラインを踏んだのだった…