切なさの距離~友達以上、恋人未満~





そうすると日向は顔を上げた。

でもペースは上がらない。



おい、どうしたんだよ、日向。


観客席がざわつく。

この県で日向を知らないヤツはいない。


隣の市にいた俺ですら日向の名前は聞いたことがあった。

不動の長距離エース、湧井日向


今、そいつが確実にペースを落とし、3位に成り下がろうとしている。

観客席がざわつくのも仕方ない。


県大で3位なんて1位か2位が棄権しない限り全国へはいけない。


頼む…頼むからもう少し頑張れ、日向。

俺は心の中で必死に祈る。


3位が迫ってくる。

ゴールが近づく。



そしてほぼ同時に日向と3位のヤツはゴールラインを踏んだ。



それと同時に日向は、グラウンドに倒れた。




「…………日向!!」













< 183 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop