切なさの距離~友達以上、恋人未満~
階段を駆け下り、グラウンドに入る。
日向は担架にのせられ、俺のいる方に運ばれてきた。
なんだ…?
怪我か?
病気か?
何も分からない。
ただ、アイツは…全国大会行きのチケットを失った。
それを、どう受け入れるのか。
そして今、どういう状況なのか。
俺は祈るような思いで日向に近づいた。
でも日向は目を開けていなかった。
息が荒いのが分かった。
尋常じゃないくらい汗をかいているのも分かった。
アイツ…もしかして意識がもうろうとする中でゴールまで、走ったのか?
日向は救護室に入っていく。
それからすぐにサイレンの音が聞こえ、救急車に乗せられた日向。
先生が日向に付き添い救急車に乗った。
「湯川、あと、頼んだぞ」
先生は俺を見つけ、叫ぶ。
でも俺は答えることができなかった。
頭の中が真っ白だったんだ。