切なさの距離~友達以上、恋人未満~
アナウンスがかかる。
グラウンドにアキが現れた。
どこか表情が浮かない。
自分のことに集中しろ、って言ったのに。
けどもし俺がアキの立場だったとしても同じことになっただろう。
自分の心配より日向を気にする。
俺は立ち上がり、大声で叫んだ。
「日向はそんな顔されること望んでねーよー!」
と。
どうして俺がここまで声を張らなくてはいけないんだろう。
アキが顔を上げた。
そして笑顔を浮かべる。
少し不自然だったが、さっきに比べれば上等だ。
今度はグラウンドの奥に目をやった。
100メートル女子の奥では走り高跳びをやっている。
そこにはもちろん増川がいる。
ここからは遠すぎてアイツの姿がよく見えない。
でもきっと、アキと同じように日向のこと心配してんだろーな。
2人とも日向のこと、大好きみたいだし。