切なさの距離~友達以上、恋人未満~





「俺も…ダメだった。

日向のために…アイツの代わりに全国行ってやろうと思ったのに…」


増川はそう言って無理矢理笑ってみせた。

お前のそんな顔、俺は見たくなかった。




「……お前らの分も、日向の分も、俺が全国で頑張るから。」


柄にもなく、そんな熱いことを言ってしまった。




「貴斗…」


そのあと嗚咽が聞こえ、俺はその場を去った。



2人とも、悔しかったんだろう。

俺にはよく分かる。


一昨年、怪我で負けたあの日を思い出す。


だからこそ、今はそっとしといてやりたい。



何を言われても負けたことには変わりない。

俺はそれを知っているから。







< 188 / 313 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop