切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「俺も…ダメだった。
日向のために…アイツの代わりに全国行ってやろうと思ったのに…」
増川はそう言って無理矢理笑ってみせた。
お前のそんな顔、俺は見たくなかった。
「……お前らの分も、日向の分も、俺が全国で頑張るから。」
柄にもなく、そんな熱いことを言ってしまった。
「貴斗…」
そのあと嗚咽が聞こえ、俺はその場を去った。
2人とも、悔しかったんだろう。
俺にはよく分かる。
一昨年、怪我で負けたあの日を思い出す。
だからこそ、今はそっとしといてやりたい。
何を言われても負けたことには変わりない。
俺はそれを知っているから。