切なさの距離~友達以上、恋人未満~
表彰式が終わり、俺は本部へ行った。
「あの…救急車で運ばれた湧井日向ってどこの病院に行ったか分かりますか?」
えーっと、と言いながらおじさんが調べてくれている。
「あ、近くのE病院だね」
お礼を言って、荷物を持つと俺は一目散に駆けだした。
よかった。
あのおじさんが優しい人で。
勢い良く飛び出したのはいいものの
この競技場初めて来たところなんだよな…
とりあえず、キョロキョロ辺りを見渡すと、
「あ…」
E病院というでっかい看板を少し離れたところに見つけた。
看板のほうに走っていくと
「でっか…」
思いのほか競技場から近いところに病院はあった。
そしてその病院の大きさに少し圧倒される。
受付で日向の病室を聞くとすぐに教えてくれた。
エレベーターに乗り込み、ボタンを連打。
連打したところで何も変わらないことくらい、分かっているのに。
【コンコン】
「はい」
病室の扉をノックすると中から聞こえてきたのは日向ではない声。
俺は恐る恐る扉を開けた。