切なさの距離~友達以上、恋人未満~





「あ、初めまして」


病室に入り、とりあえず頭を下げた。

誰だろう。この女の人。




「初めまして。

日向の母親です」


日向のお母さんか。

確かに…目元とか日向とそっくりだ。



「俺、湯川貴斗って言います。

今年、日向と同じクラスになりました」


「あなたが湯川くんね。

日向からよく聞いてるわ。


いつもありがとね」


頭を下げられまた頭を下げる俺。

正直、こういうときどういう反応をしていいか分からない。




「ちょっと出て来ます。

すみません」


日向のお母さんは先生に頭を下げる。



あ、先生いたのか。




「湯川…なんで家に帰ってないんだ」


顧問で担任の名前…なんつったっけ…?

山…山…山本?は眉をひそめ、言った。




「日向のことが…心配だったんで」


当たり前だろ。

目の前で倒れられて心配しないヤツがこの世界のどこにいるんだ。








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