切なさの距離~友達以上、恋人未満~
なんだか落ち着かなくて。
俺は立ち上がった。
その拍子に思い切り、棚に肘をぶつけてしまった。
「………いってぇ…」
そのあまりの痛さに立ったのに再び座るはめになる。
「………ゆか…わ?」
肘をさすっていた手を止めた。
そして顔を上げた。
そこにはさっきまで寝ていたはずの日向が目を開け、俺を見ている。
「あ…悪ぃ、起こしちゃって」
何やってんだよ…俺。
「もう大会、終わったの?」
「………おう」
日向は特に取り乱す様子もなく、静かに目を閉じる。
「アキと夢大…どうだった?」
コイツはなんで、自分のことじゃなく人のことを気にしてるんだ。
普通、こういうときはまず1番に
「あたし、どうなったの?!」
って聞くのが当たり前なんじゃないのか?
「アイツらは…負けた。
2人とも、あと少しだったんだけどな」