切なさの距離~友達以上、恋人未満~
車が動き出してすぐに山本は言った。
「日向に順位のこと、言ったのか?」
連絡が入ったのか山本は日向が3位になったことを知っているようだった。
「言ってません。
でも…アイツ、自分で分かってたみたいです」
「………そうか」
それからは無言だった。
何を話せばいいのか分からなかったし、
とても話す気にはなれなかった。
「湯川。
全国大会、頑張れよ」
「はい」
家に着いて車を降りるとき山本に言われた。
お礼を言ってドアを閉める。
頭を下げて車を見送った。
なんだか今日は…一段と疲れた。
それが大会のせいか、
いろいろ気を遣うことがあったせいか、分からない。
もしかしたら両方かもしれない。
もう、なんでもいい。
取りあえず、起きているのがイヤだった。
寝て、何もかも忘れたかった。
日向が、アキが、増川が負けたこと。
全部。
全部。
夢だったらいいのに…