切なさの距離~友達以上、恋人未満~
6時55分
あたしは湯川のアパートの階段に座っていた。
さすがに1週間以上走っていないと体がなまって、息が切れた。
汗が止まらなくて服がベタベタだ。
あれくらいの距離でバテるなんて、今までだったらありえなかったのに。
そんなことを考えてふっと笑った。
「………え?日向?」
声がして慌てて立ち上がった。
でも、振り向かない。
振り向いたら、全部、吐き出してしまいそうだった。
「あ…うん。
久しぶり」
湯川が後ろにいる。
ただそれだけのことなのに、背中に全神経が集中する。
「なんでお前…ここにいるんだよ。
しかもこんな時間に。」
「いや…その…」
口が裂けても言えない。
湯川にちゃんと謝りたかったんだ、なんて。