切なさの距離~友達以上、恋人未満~
これはそのあと知ったことだがどうやらアキレス腱断裂だったらしい。
それでもよく、最後まで走り切ったと思う。
結果は惜しくも2位だった。
けど、あたしの脳裏に鮮明に焼き付いている、湯川貴斗の姿。
ただ、それから湯川貴斗は大会にまったく顔を出さなくなった。
ウワサによると怪我が思ったように回復しなかったらしい。
でも、今目の前で走ってる湯川貴斗は怪我をしていたようには見えなかった。
むしろ、あの頃より速く見える。
「あの…湯川貴斗が…」
アキが口をパクパクさせている。
知らない間にあたしの足は勝手に動き出し、前を走る湯川貴斗を追いかけていた。
「ゆ、湯川くん!」