切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「もうすぐ授業参観がある」
もうすぐ10月になろうというある日。
朝のHRの最中に、山ちゃんが言った。
出たぁ…授業参観。
「手紙配るから親御さんに見せるように。
ライターで燃やしたり、道ばたに捨てるなよー!」
前から手紙が送られてくる。
授業参観…ヤなんだよね…
親、絶対来るし。
恥ずかしいからやめてほしいのに。
「湯川ぁ…親、来る?」
あれから席替えをしたがなぜかあたしと湯川はそのままの席。
なんていうクジ運なんだろう。
「うちは来ない。
来る暇ないくらい忙しいと思うから」
手紙をくしゃくしゃに丸め、乱暴に鞄に突っ込む湯川。
「どっちも来ないの?」
言ってからしまった、と思った。
そう言えば湯川、母子家庭かもしれないんだ…