切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「…ねぇ」
「………」
「…ねぇってば!」
技術の授業中。
先生がおじいちゃんでみんな授業中なのに自由に遊んでる。
少しくらい大きな声を出してもみんなの声にかき消される。
だからちょっと大きめな声で呼ぶ。
でもさっきから反応なし。
「…湯川ぁー!」
思い切って背中をバシッと叩く。
「…いってぇ…」
眉をひそめた湯川が振り向いた。
「んだよ…
起こすならもっと優しくしてくんねぇ?」
え…起こすならって寝てたワケ?
なるほど、そりゃあ起きないワケだ。
ってそうじゃない。
「あの…さ、なんか…うん…」
ごめん、なんて言うのは恥ずかしくて、
というか自分から謝るのはなんだか負けた気がしてイヤで。
呼びかけたくせにあたしは黙り込む。
「さっき、アキが言ってたことどういう意味?」