切なさの距離~友達以上、恋人未満~





「オカン、今な夜も働いてるんだ。

別にそんなに頑張らなくても親父が慰謝料とか養育費とか入れてくれてるから十分生活はできるんだ。


けど、オカンはパートを増やした。

理由はな、親父がその浮気相手と結婚したって知ったからなんだ。


オカン、裏切られてもまだ親父のことが好きなんだよ。


俺、それ見てなんでそれでも好きでいられるんだよ…って思った。

ってか今も思ってる。


俺には理解できないし、

理解したくもない。


裏切られたことには変わりないし、

自分はイヤというほど傷つけられて、

毎日泣かされて。


どうしてまだ、好きなんだよ、って。



ってなんか…話変わってるな。

こんな話聞かせてごめん」


もうすぐ日向の家だ。

自然に歩くペースが遅くなった。



「全然いいよ。


あたしは湯川に比べると全然幸せなんだと思う。

お父さんもお母さんも仲いいし。


そのことがよく分かったし、それに…」



「それに…?」



「湯川が自分のこと話してくれるなんて滅多にないからさ。

だから、なんか嬉しかった」





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