切なさの距離~友達以上、恋人未満~
「お邪魔します」
女の子の家なんてそうそう入る機会はなくて。
と、いうか今まで裕実の家しか入ったことがなかった。
「あら!湯川くんじゃない!
いらっしゃい」
リビングから日向のお母さんが出て来た。
「ご無沙汰してます。」
頭を下げる。
「あらあら、かしこまっちゃって」
日向のお母さんはそう言いながら笑っている。
「お母さん!恥ずかしいからやめてよ!
湯川、行こ!!」
日向は俺の腕を引っ張って階段を昇っていく。
2階に着くと掴んだ手を離した日向。
その横顔はさっきと同じく赤くて。
「お前…照れてんの?」
俺は声を出さないように笑う。
「べ、別に照れてなんかないし!」
おもしれぇー…
照れてないとか言いながらめっちゃ焦ってる。